離婚や死別などで母子家庭になったとき、母親であるあなたが働けなくなったら生活保護を申請するでしょう。

そこで気になるのが、生活保護費の支給額。

どれだけもらえるのかを知ることができたら、保護を受けるかどうかの参考になりますよね。
 

そこで今回は、母子家庭の生活保護支給額を紹介します。

なお、生活保護支給額は2018年10月から段階的に変わっていくので、その点も取り上げていきます。

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母子家庭の生活保護支給額を知る前に級地を知ろう

母子家庭の生活保護支給額を紹介するには、まず級地を紹介しないといけません。

級地とは、生活保護費の大小で分けた地域のグループです。

それぞれ紹介させていただきます。

1級地1

東京23区・さいたま市・横浜市・川崎市・名古屋市・京都市・大阪市・神戸市が入ります。

ただ大都市だけとは限らず、例えば埼玉県であれば川口市も、兵庫県であれば尼崎市や西宮市など6つの市が入ります。
 

神奈川県は他にも藤沢市など4つの市と葉山町が、大阪府は堺市や門真市など16つの市が入ります。

東京都では、青梅市・武蔵村山市・羽村市・あきる野市以外の市がここに入ります。

1級地2

1級地1で名前が挙がらなかった大都市、札幌市・仙台市・千葉市・広島市・福岡市が入ります。

北海道は他にも江別市が、千葉県は船橋市や浦安市など5つの市が、広島県は福山市と呉市と府中町が、福岡県は北九州市も入ります。
 

1級地1が入っている地域では、埼玉県は所沢市や戸田市など6つの市が、東京都は青梅市・武蔵村山市が入ります。
 

神奈川県では横須賀市や秦野市など9つの市が、京都府では宇治市・向日市・長岡京市が入ります。

大阪府は貝塚市や交野市など9つの市と忠岡町が、兵庫県では姫路市と明石氏が入ります。
 

実は人口200万人以下の県も2つここに入っています。

それは滋賀県と岡山県で、それぞれ県庁所在地が入ります。

岡山県は倉敷市も入っています。

2級地1

ここからは全国の県が入ります。

群馬・富山・長野・三重・山口・大分は、県第2の都市も入っています。

奈良県は第2の都市である橿原市は入っていませんが、代わりに第3の都市生駒市が入っています。

群馬県に至っては、高崎市だけではなく桐生市も入っています。
 

やっと名前の挙がった静岡県は静岡市と浜松市以外でも沼津市・熱海市・伊東市も入ります。

もちろん、人口500万人以上の都道府県もこの地域に入る市町村があります。

2級地2

この地域は、大体人口10万人~20万人程度の市町村が入ります。

人口20万人以上の地域では、長岡市・富士市・加古川市・佐世保市が入っています。

3級地1

人口5万人程度の市などが多く入っています。

ただ、人口20万人程度の八戸市・つくば市・上越市なども入っており、福島県いわき市・郡山市もここに入っています。

3級地2

こちらは田舎が入ると思っても良いです。

ただ、茨城県かすみがうら市・岐阜県山県市・宮崎県日南市のように「市」も入っています。

母子家庭の生活保護支給額の生活扶助の計算方法を紹介!

実は、生活保護費の支給額は2018年10月より変わります。

公益社団法人 国民健康保険中央会に載っている資料や表を載せます。

まずは計算式を紹介します。

基準額の計算方法

(生活保護基準第1類×逓減率)+生活保護基準第2類です。

逓減率は級地が関係しません。

生活保護第1類については、世帯人員ごとに当てはまる値を合計していくことになります。
 

例えば宮崎県日向市に住む10歳の男子小学生・17歳の男子高校生・45歳の母親の3人だと、基準額1にある表で言えば

27,170+33,560+30,450=64,010です。

2018年10月~2019年9月までの生活扶助の計算方法

  1. (基準額①×0.9)(基準額②)どちらか多い方を採用
  2. (1)に2/3を掛けます
  3. (基準額①×0.855)(基準額③)どちらか高い方を採用
  4. (3)に経過的加算を足す
  5. (4)に1/3を掛ける
  6. (2)+(5)に1の位を切り上げたものが生活扶助です。

2019年10月~2020年9月までの生活扶助の計算方法

  1. (基準額①×0.9)(基準額②)どちらか多い方を採用
  2. (1)に1/3を掛けます
  3. (基準額①×0.855)(基準額③)どちらか高い方を採用
  4. (3)に経過的加算を足す
  5. (4)に2/3を掛ける

  6. (2)+(5)に1の位を切り上げたものが生活扶助です。

2020年10月以降の生活扶助の計算方法

  1. (基準額①×0.855)(基準額③)どちらか高い方を採用
  2. (1)に経過的加算を足す

(2)に1の位を切り上げたものが生活扶助の金額になります。

生活保護基準額一覧表

平成30年10月の生活扶助基準額表
出典:公益社団法人 国民健康保険中央会|平成30年10月以降における生活保護基準の見直し

経過的加算

経過的加算については、何人世帯化によっても級地によっても違います。

経過的加算①
経過的加算②
出典:公益社団法人 国民健康保険中央会|平成30年10月以降における生活保護基準の見直し

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母子家庭の生活保護支給額の加算額を紹介

児童養育加算についても、2018年10月から変更がありました。

それまで支給対象でなかった高校生も支給対象に含まれました。

母子加算についても金額が変わっています。

児童養育加算

こちらも2018年10月より段階的に増えていきます。

2018年10月~2019年9月

1人目・2人目

3歳未満 13,300円
3歳~18歳 10,000円

3人目以降

小学校卒業前 13,300円
中学生・高校生 10,000円

 

2019年10月~2020年9月

1人目・2人目

3歳未満 11,600円
3歳~18歳 10,000円

 

3人目以降

小学校卒業前 11,600円
中学生・高校生 10,000円

 

2020年10月~

年齢・人数にかかわらず一律10,000円

経過的加算

該当する場合は、加算額がさらにプラスされます。

1. 4人以上の世帯で(母子家庭なら3人子供がいるということですね)3歳未満の子供がいる

2. 3人目の子供が3歳~小学校卒業前

加算額

2018年10月~2019年9月 950円
2019年10月~2020年9月 2,650円
2020年10月~ 4,250円

 

母子加算

2018年10月~2019年9月

1級地 2級地 3級地
1人目 21,400円 19,800円 18,400円
2人目に加算する額 2,800円 2,600円 2,400円
3人以上1人増す毎に加算する額 1,600円 1,500円 1,400円

 

2019年10月~2020年9月

1級地 2級地 3級地
1人目 19,900円 18,400円 17,100円
2人目に加算する額 3,800円 3,500円 3,200円
3人以上1人増す毎に加算する額 3,800円 2,100円 1,900円

 

2020年10月~

1級地 2級地 3級地
1人目 18,400円 17,000円 15,800円
2人目に加算する額 4,700円 4,300円 4,000円
3人以上1人増す毎に加算する額 2,800円 2,600円 2,400円

 

経過的加算

3人以上の世帯で、母子加算の対象者が1人だけいる場合が該当します。

3人世帯の場合

1級地1 1級地2
0歳~5歳 1,090円 1,090円
6歳~11歳 1,090円 1,090円
12歳~14歳 1,090円 1,090円
15歳~17歳 0円 0円
18歳~20歳 1,090円 1,090円
2級地1 2級地2
0歳~5歳 0円 0円
6歳~11歳 1,050円 0円
12歳~14歳 1,050円 910円
15歳~17歳 0円 0円
18歳~20歳 1,050円 910円
3級地1 3級地2
0歳~5歳 0円 0円
6歳~11歳 0円 0円
12歳~14歳 580円 0円
15歳~17歳 0円 0円
18歳~20歳 580円 0円

 

4人世帯の場合

1級地1 1級地2
0歳~2歳 1,090円 1,090円
3歳~4歳 1,090円 1,090円
5歳~17歳 0円 0円
18歳~20歳 1,090円 1,090円
2級地1 2級地2
0歳~2歳 1,090円 1,090円
3歳~4歳 1,090円 1,090円
5歳~17歳 0円 0円
18歳~20歳 1,090円 1,090円
3級地1 3級地2
0歳~2歳 950円 0円
3歳~4歳 950円 950円
5歳~17歳 0円 0円
18歳~20歳 950円 950円

 

5人以上の世帯の場合

1級地1 1級地2
0歳~14歳 1,090円 1,090円
15歳~17歳 0円 0円
18歳~20歳 1,090円 1,090円
2級地1 2級地2
0歳~14歳 1,050円 1,050円
15歳~17歳 0円 0円
18歳~20歳 1,050円 1,050円
3級地1 3級地2
0歳~14歳 950円 950円
15歳~17歳 0円 0円
18歳~20歳 950円 950円

 

参考サイト:公益社団法人 国民健康保険中央会|平成30年10月以降における生活保護基準の見直し

母子家庭の生活保護支給額の具体例を紹介!

生活保護の支給額は段階的に変化していきます。

最終的には2020年10月の変更で支給額の変化は終わります。

今回は、2019年10月~2020年9月の支給額と、2020年10月以降の具体例な支給額を、旧基準での支給額と比べながら紹介します。

具体例1

愛知県岡崎市に、45歳の母親・14歳の娘・10歳の娘の3人暮らしの世帯があります。

2020年4月の給付額を紹介します。

旧基準では、この世帯の生活保護支給額は184,050円です。

新しい基準では

2020年4月:2019年10月~2020年9月を採用します。
 

  1. 生活扶助基準額①=(35,750+39,400+31,900)×1+49,900=156,950
  2. 生活扶助基準額②=(35,570+35,410+31,900)×0.835+53,480=139,385
  3. 基準額②よりも基準額①×0.9の方が金額多いので、156,950×0.9=141,255を採用
  4. 生活扶助基準額③=(43,160+43,460+41,550)×0.7151+44,480=136,134
  5. 基準額①×0.855よりも基準額③の方が多いので、136,134を採用
  6. (141,255×1/3)+(136,134×2/3)= 137,842→1の位を切り上げて137,850
  7. 経過的加算はなし
  8. 生活扶助の金額は137,850円
  9. 児童養育加算:14歳の娘10,000+10歳の娘10,000=20,000円
  10. 母子加算:18,400+3,500=21,900
  11. 総支給額:137,850+20,000+21,900=179,750円

具体例2

兵庫県加東市に、39歳の母親・12歳の娘(小学生)・7歳(小学生)の息子・4歳の娘の4人暮らしの世帯があります。

この世帯の、2020年2月の給付額を紹介します。

旧基準では、この世帯の生活保護支給額は194,650円です。

新しい基準では2020年2月:2019年10月~2020年9月を採用します。
 

  1. 生活扶助基準額①=(32,120+33,560+27,170+21,010)×0.95+43,990=152,157
  2. 生活扶助基準額②=(31,060+31,650+27,790+24,220)×0.7675+49,780=137,827
  3. 基準額①×0.9よりも基準額②の方が金額多いので、137,827を採用
  4. 生活扶助基準額③=(38,700+38,970+37,250+36,430)×0.601+46,390=137,351
  5. 基準額①×0.855よりも基準額③の方が多いので、137,351を採用
  6. (137,827×1/3)+(137,351×2/3)= 137,511円→1の位を切り上げて137,520
  7. 経過的加算はなし
  8. 生活扶助の金額は137,520円
  9. 児童養育加算:12歳娘10,000+7歳息子10,000+4歳娘11,600=31,600円
  10. 母子加算:17,100+3,200+1,900=22,200円
  11. 総支給額:137,520+31,600+22,200=191,320

具体例3

広島県大竹市に、38歳の母親・14歳の娘・10歳の息子の3人暮らしの世帯があります。

この世帯の、2020年11月の給付額を紹介します。

旧基準では、この世帯の生活保護支給額は178,610円です。

新しい基準では2020年11月:2020年10月以降を採用します。
 

  1. 生活保護基準額①=(35,840+37,460+30,320)×1+47,440=151,060
  2. 生活保護基準額③=(43,160+43,460+41,550)×0.7151+44,480=136,134
  3. 基準額①×0.855よりも基準額③の方が多いので、136,134→1の位を切り上げて136,140を採用
  4. 経過的加算はなし
  5. 生活扶助の金額は136,140円
  6. 児童養育加算:14歳の娘10,000+10歳の息子10,000=20,000円
  7. 母子加算:15,800+4,000=19,800
  8. 総支給額:136,140+20,000+19,800=175,940円

具体例4

北海道北広島市に、36歳の母親・13歳の息子の2人暮らしの世帯があります。

この世帯の、2021年2月の給付額を紹介します。

旧基準では、この世帯の生活保護支給額は141,120円です。

新しい基準では・2021年2月:2020年10月以降を採用します。
 

  1. 生活保護基準額①=(37,710+39,400)×1+45,010=122,120
  2. 生活保護基準額③=(43,160+43,460)×0.8548+40,090=114,132
  3. 基準額①×0.855よりも基準額③の方が多いので、114,132→1の位を切り上げて114,140を採用
  4. 経過的加算はなし
  5. 生活扶助の金額は114,140円
  6. 児童養育加算:13歳の息子10,000円
  7. 母子加算:15,800円
  8. 総支給額:114,140+10,000+15,800=139,940円

まとめ

母子家庭の生活保護費支給額は、基本的に都市部では16万~18万、地方では13万~16万程度だと思ってください。

これからの支給額の変更で、2,000円程度支給額が減少するようです。
 

総務省統計局のホームページによると、母子家庭の生活費は191,309円(参考:母子世帯の家計|総務省統計局)です。
 

これを見ると、生活保護の金額は母子家庭に限って言えば、無理のない節約をすれば適正といえるでしょう。
 

子供は人生で大事な時期なので、余裕のある暮らしをしてほしいと思っています。

この記事を見て、生活保護を受けるかどうか真剣に考えてください。

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